理事長/学院長メッセージ
明治学院の目指すもの
21世紀を迎え国の内外には難問が山積しています。今日ほど人類の英知が求められる時代はありません。その意味で深い教養を身につけた人材の育成は急務であります。いかなる専門分野もこのような教養を身につけた人格なくして真の発展はありません。
明治学院はわが国の私立学校の中で最も長い歴史を有する学校として、2013年に150周年を迎えます。この歴史と伝統の中で中・高・大一貫してキリスト教主義に基づき深い教養を身につけた人格の育成を目指してまいりました。
特に力を入れていることの一つは国際人の育成であります。国際人の資質の第一は平和を大切にすることであることは言うを待ちません。明治学院の淵源は創始者ヘボン博士の開いた英学塾にあります。「英語の明治学院」の伝統を生かし英語によるコミュニケーション力をもつ人材の育成を強力に進めています。交換留学生の拡充にも力を注いでおります。
次に、明治学院のモットーは、「他者への貢献」“Do for Others”であります。ヘボン博士は自らの私財を投げ打ち、宣教を目的として日本の土を踏み、宣教師、医師、教育者などとして生涯を日本の人々のために捧げました。この伝統を受け継ぎ、明治学院の学生・生徒は他者を理解し、他者に仕えていく精神を中・高・大のさまざまなステージで学んでいきます。
このような教育を通して明治学院は今日まで多くの人材を世に送り出してきました。明治学院大学までの過程で身につけた教養と専門知識を実社会で生かせるよう近年は早い段階からのキャリア指導に心がけております。
関係者の努力により経営内容は健全であり、この財務力と多くの方からのさらなるお力をいただいて150周年を期して思い切った教育環境の整備を進めて行きたいと決意しております。
今回開設されます明治学院ホームページが、明治学院をご理解いただくための一助となると共に、皆様との対話が促進される機縁となりますならば幸いに存じます。
明治学院のキリスト教主義教育について
学校法人明治学院は、「福音主義のキリスト教に基づいて、教育事業を経営する」ために存在していますが、このような教育は一般に「キリスト教主義教育」と称されています。
「福音主義のキリスト教」というのは16世紀ヨーロッパのキリスト教に生じた、マルチン・ルターの名とともに知られる宗教改革に発するプロテスタント・キリスト教のことです。当時の身分制社会に密着していたカトリック・キリスト教に対して厳しい批判を特徴とするプロテスタント・キリスト教は、個人の自由を強調する社会思想を生み、それが身分制社会を打破して市民社会をもたらした17世紀のイギリス市民革命、18世紀のフランス大革命のような変革につながりました。
自由な市民社会というのは、元来、個人の利己主義を野放しにするのではなく、他者への愛によって身を律する自由人の社会です。今でも、欧米の資本主義社会には、福祉国家の構築を始め、さまざまな形でこの「市民精神」が働いています。しかし日本では、明治維新を経て、身分制社会から市民社会の形成を待たずに資本主義社会に一足飛びしてしまったために、1945年の敗戦後のいわゆる民主化改革で、憲法に市民社会の原則が明記されたものの、「市民精神」はまだまだ十分には根付いておらず、そのためには教育における相当な努力が必要であるというのが現実です。
キリスト教主義教育は、まさにプロテスタント教会が果たした歴史上の役割にふさわしく、「良き市民」が育つのを助ける教育にほかなりません。カリキュラムにキリスト教関連科目があり、学校の中でキリスト教に結びついた行事や活動があるのは、決してキリスト教の勢力を強めるためではなく、「市民精神」が何によって支えられているかを理解してもらうためなのです。
明治学院の諸学校はこれまで、多くの「良き市民」を世に送り出してきました。これからも、なおいっそう、伝統の市民教育の充実を図って日本社会に独自の貢献を果たそうとしているのです。




