明治学院礼拝堂パイプオルガン奉献式(2009年10月24日)

明治学院白金校地のチャペル(礼拝堂)は、1914年に竣工され、東京都港区有形文化財(1989年)、東京都港区「景観上重要な歴史的建造物」(2002年)に指定されています。竣工以来、補修・改修工事を重ねてきましたが、2004年12月より耐震修復工事が開始され、これに伴いチャペル内に設置されているパイプオルガンも更新されることとなりました。 この事業は多くの方々にご協力をいただき、チャペルの耐震修復工事は2008年2月に終了、新しいパイプオルガンは設置後、2009年10月24日に奉献式が挙行されました。

新パイプオルガン

待望のオルガンが出来上がりました!

学院長  久世 了(当時)

6年前の2003 年12 月から進めてきた白金チャペル改修・オルガン更新事業は、本日のオルガン奉献式をもって完成いたしました。ご心配をおかけして参りましたことをお詫び申し上げると共に、ここに至るまでにお寄せくださった皆様のお力添えに深く感謝申し上げます。

チャペル改修工事につきましては、2008 年2 月にその竣工を祝う献堂式を行うことが出来ましたが、当初の予定では同時に設置完了するはずのオルガンの制作が大幅に遅れて今日に至りました。この遅延はひとえに、オルガン制作に当たってきたオランダのオルガンビルダー、ヘンク ファン エーケン氏の、最高の品質のオルガンを制作しようとする情熱によるものです。氏は、ヨーロッパ各地の近代以前に制作されたパイプオルガンの保全・修理に当たる中で、その音色がより新しいオルガンに比べて優れていることに気付き、研究を進めた結果、近代冶金工業が生産する純度の高い金属よりも、むしろある程度不純物を含む古い時代の材質の方が、より良い音色を生み出していることを発見しました。そこで氏は、パイプの材質としての合金そのものを自らの工房の溶融炉で作り出し、それを最古の方法で板金とするところから始まる独自の工法を開発しました。 このいわば「擬古的工法」は、基本的に「手作り」であるだけに音色の調整が難しく、ファン エーケン氏の「品質には一切妥協しない」という姿勢もあって予想以上に時間がかかる結果になってしまいました。しかしようやく、この工法によるものとしては世界で4 台目、日本では初めてというオルガンが完成し、オルガン・コンサルタントのファン オールトメールセン氏を迎えてここに奉献式と記念の演奏会を開く運びとなりました。皆様にはこの間の事情をご理解の上、これからも末永くこの新オルガンの奏でる音色を愛でてくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

Het Nieuwe Orgel voor Meiji Gakuin

Het is een bijzonder grote eer om dit orgel voor Meiji Gakuin te hebben mogen bouwen. Ons doel was om Meiji Gakuin een orgel te geven ‘zo goed als oud’, met een muzikale en artistieke expressie, vergelijkbaar met die van de fraaie orgels uit de eerste helft van de achttiende eeuw in noord-west Europa. Wetenschappelijk onderzoek en internationale samenwerking met de beste partners zijn voor het bereiken van dit doel erg belangrijk geweest. Bij de bouw van dit orgel heeft een zo nauwkeurig mogelijke herhaling van het historische productieproces centraal gestaan. Daarbij zijn uitsluitend historisch juiste materialen en historisch juiste werkwijzen toegepast. De klank van de meeste historische orgels in Europa is in de negentiende eeuw gewijzigd, waarbij de oorspronkelijke verhouding tussen aanspraak toon en ruis wezenlijk is veranderd. Deze wijzigingen kunnen bij een restauratie maar beperkt ongedaan worden gemaakt. Door toepassing van het concept van proecesherhaling kon bij het nieuwe orgel voor Meiji Gakuin uiteindelijk de oorspronkelijke vóór-negentiende eeuwse klankesthetica gestalte krijgen, waarbij de klank en de expressie op de meest natuurlijk wijze uit de toegepaste materialen en de bewerking daarvan. Het begrip, het geduld en het vertrouwen van Meiji Gakuin is ons in dit complexe en tijdrovende traject tot grote steun geweest. Wij hopen dat dit orgel velen zal inspireren tot verdergaande studie, onderzoek en verdieping. Moge het dit orgel een verrijking betekenen van de Japanse geest en cultuur, Ad maiorem Dei gloriam.

Henk van Eeken

明治学院の新しいオルガンに寄せて

私どもの魂を込めたオルガンを明治学院のために作らせていただいたことを大変光栄に思っております。今回のオルガンプロジェクトは、オルガン音楽が最も栄えた18 世紀前半の北西ヨーロッパの伝統を受け継ぎ、「古き良き音」を再現することを最終目的として、各分野の優れた仲間たちの国境を超えた協力を得て実現いたしました。歴史的オルガン建造は、現在に至るまでにその技法の伝承が一度廃れてしまっているので(日本の宮大工の技術のように着実に伝承されていたなら、とうらやましく思います)、それを再現するために最先端の知識と技術を総動員して初めて、材料の吟味から工法すべてに至るまで一貫して歴史的な方法で作り上げることができました。 ヨーロッパ各地に現存する歴史的オルガンの多くは、19 世紀の間にパイプや内部の修復に伴って音まで変えられてしまい、パイプが本来持つ発音の瞬間の空気の音や音色そのものの特色が失われていきました。しかし、この明治学院のプロジェクトで歴史的工法を完全に行うことができたおかげで、19 世紀以前のオルガンの音色がどんなに生き生きとした、人の声に合うものであったか、ここに結果を皆様にお聞きいただけることは、オルガンビルダー冥利に尽きます。 ここに改めまして、納期を遅れて様々なご迷惑をかけたにもかかわらず、理解と忍耐を持ってお待ちくださった明治学院の皆様、様々な形でご協力くださった関係の皆様に、心より御礼申し上げます。 私達は、皆様がこのオルガンを、弾くばかりではなく美術的、科学的、そして物理的な観点からも興味の対象としてくださり、あらゆる方々がオルガンに関わって、誰もが各分野での「オルガン愛好専門家」になってくださることを切に望んでいます。そしていつの日か、この風変わりなオルガンが日本の精神と文化に溶け込んでなくてはならぬ存在になることを願ってやみません。 全能の神に栄光あれ。

ヘンク ファン エーケン

新パイプオルガン

明治学院パイプオルガン奉献式・奉献演奏 (2009年10月24日)

  1. 奉献式
  2. 挨 拶
  3. オルガンについて
  4. ヨハン・セバスティアン・バッハ「トッカータとフーガ 二短調」   演奏/長谷川美保
  5. 賛美歌「よろずのくにびと」による即興と会衆讃美   演奏/長谷川美保
  6. ティルマン・スザート「舞曲集」より   演奏/ジャック・ファン・オールトメルセン
  7. ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル「オルガン協奏曲ヘ長調」   演奏/ジャック・ファン・オールトメルセン
  8. ゲオルク・ベーム「喜べ、おお我が魂よ」による変奏曲   演奏/ジャック・ファン・オールトメルセン
  9. ヨハン・クリストフ・ケルナー「プレリューディウムハ長調」   演奏/ジャック・ファン・オールトメルセン

新パイプオルガン完成祝賀  オールトメルセン オルガン演奏会(2010年3月25日)

Jacques van Oortmerssen × New organ at Meiji Gakuin

 ・G.ベーム プレリュード、フーガとポストリュード ト短調
 ・J.S.バッハ プレリュードとフーガ ハ長調
 ・F.メンデルスゾーン=バルトルディ ソナタ第2番 ハ短調
 ・J.v.オールトメルセン ファータ モルガーナ ほか

オルガン演奏会パンフレット (PDF / 1.75MB)